到達レベルごとの学習プロセス

はじめに

数学力は3段階に分けられる!

本記事では数学力を三段階に分けて解説します。数学力という曖昧な単語を適当に使うと誤解を招きそうなのでここでは「入試問題を解く力」を数学力と表現することとします。

私が今まで学習してきた経験に加えて、家庭教師として培った経験をもとに、数学力の遷移を3つに分類しました。

各段階において、どのような人が当てはまるのか、できること・できないこと、偏差値に換算するとどの程度になるのか、どの程度の大学に受かることができるのかという4つの観点で各段階を解説しました。

分類方法について

なぜ3段階なのかというと、数学力はとても複雑に遷移するため、これ以上細かく分類するべきではないと判断しました。

またここで紹介する数学力の各段階はすべての人にしっくりとくる説明となるように、以下の点を意識して作成しました。

①自分がどの段階にいるのか判断しやすい

②次の段階に遷移するためにやるべきことが明確

自分の数学力を自分自身で判断するには、バイアスの影響を受けない絶対的な指標が必要です。そのため基礎力、応用力等といった曖昧な表現はできるだけ避けた絶対的な指標によって分類をしました。

また、学習プロセスを明確にすることが本記事の目的であり、そのためには分類した各段階から次のステップへ移行するためにするべきことは明確でなくてはなりません。やるべきことはやっているのにその段階からなかなか抜けだせないというようなことが起こらないようにしました。

本記事では知識と理解という二つの指標を用いて評価しましたので、念のためこの二つの軸を採用した根拠を説明してから本題に入ろうと思います。根拠がなくても私の話を聞く気になっていただける方は読み飛ばしていただいて構いません。

まず評価軸その1「知識」についてですが、公式、定義などの最低限覚えておかないといけない内容を覚えているかどうかという軸です。覚えているかどうかの二択であり、人によって解釈がバラつきにくいです。

評価軸その2「理解」は教科書レベルの説明ができるかどうかという二択で考えることで解釈のずれが生じにくいので採用しました。

第一段階:偏差値50以下

第一段階は公式や定義の暗記が不十分、または教科書レベルの解説すら理解できていないなど、基礎力が不十分な段階です。数学が何もわからないと感じている人はこの段階にいることが多いです。

例えば、二次関数の軸や頂点がよくわかっていなかったり、平方完成のやり方が分からないといった状態が第一段階に該当します。別な例では、確率のPとCの違いを明確に説明できないなどといった状況も該当します。

この段階では、ギリギリ知っている公式をそのまま適用させるだけの問題が解ける程度であるため偏差値に換算すると50以下になります。この段階で大学受験に挑む場合は他教科で十分なアドバンテージがないと厳しいです。

第二段階:偏差値50台

第二段階では公式や定義の暗記は完璧で、さらに教科書レベルの解説は抜けもれなくできるなど基礎力が身についた段階です。思いつくことを大体やりつくした人はこの段階にいる場合が多いです。

公式を適用させるだけの問題はもちろん、高度な発想を必要としない典型的な問題であれば難なく解くことができる一方で、応用力がなく典型から少しずれた問題には弱いです。

例えば、定数を含む2次関数の最大最小の問題が教科書通りに出題されれば完璧に解けるのに対し、関数が3次関数になるなど、典型から少し離れるだけで解けなくなることが課題です。

参考書・問題集にまじめに取り組めばこの段階には容易にたどり着くことができる一方で、その先の第三段階に到達するには大きな壁があるため多くの受験生が停滞するポイントとなっています。よって第二段階は偏差値に換算すると50台になります。第二段階まで数学力が向上すれば相当数の大学が射程圏内に入ります。

第三段階:偏差値60~70

第三段階では公式や定義は当然完璧で、教科書には載っていないような高度な理解ができているといった段階です。自分の知識を応用させて問題に取り組むことができるのが特徴で、難関大学に合格するには必須レベルです。

第三段階に到達すると、応用力を必要とする複雑な複合問題や、難しい発想を必要とする問題が解けるようになってきます。一方で理解の度合いによってはまだまだ解けない問題も多くあります。第二段階でぶち当たった大きな壁を突破できたので成長速度が加速して自分の理解度に応じて解ける問題がどんどん増えてくるのが第三段階です。

第二段階と第三段階の間に大きな障壁があるため、第三段階まで到達できる人は少ないです。よって偏差値に換算すると60〜70となります。東大、京大、一橋など数学が難しいとされている大学では第三段階まで到達していないと歯がたちません。

どんな勉強をすればよい?

第一段階からスタートして、第二段階に到達するまでに必要なこと、第三段階に到達するまでに必要なことの2つを解説します。

第二段階到達:簡単

第二段階に到達する方法は単純です。授業や参考書で内容を理解し、公式や定義を暗記して問題演習を行うだけです。多少非効率でも、質が悪くても繰り返し問題を解いているうちにこの段階までは到達することができます。

やるべきことがはっきりしている分、独学で数学を勉強している人でも第二段階まではすんなりと到達することができます。

第三段階到達:超大変!

数学の学習における最大の難所はいかにして第三段階に到達するかということです。人間にはとても強いバイアス(思い込み)があるため、理解を深めようと思って簡単に深められるわけではありません。バイアスとの向き合い方が第三段階到達のカギを握っています。

理解を深めるために必要な作業を端的に説明すると、バイアスを取り去って新たな視点を得ることの繰り返しと言えます。具体的な方法はこちらの記事で詳しく解説していますので気になる方はご覧ください。

第三段階で理解していてほしいのは、独学でこのレベルに達するのは非常に困難だということです。バイアスを取り去ることは非常に難しく、どれだけまじめにやっても適切な方法でなければ第三段階への壁を突破することはできません。

注意点

点数がすべてではない

到達レベルは単元ごとに考えるようにしてください。数学といっても様々な分野があり、例えば確率と図形だけずば抜けていてもその他がダメならⅠ・A全体の点数は下がってしまいます。点数だけ見て「Ⅰ・Aが苦手」と判断しないようにしましょう。

まとめ


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